IADL は Instrumental Activities of Daily Living、手段的日常生活動作のことです。買い物、食事の支度、金銭の管理、外出。ADL より一段複雑な、暮らしを回すための動作を指します。そして、ADL より先に落ちます。
IADL とは何か。ADL とどう違うか
| ADL | IADL | |
|---|---|---|
| 日本語 | 基本的日常生活動作 | 手段的日常生活動作 |
| 中身 | 食べる、着替える、トイレ、入浴、歩く | 買い物、食事の支度、金銭の管理、外出、服薬の管理 |
| 落ちる順 | あと | さき |
| 気づかれ方 | すぐ分かる | 見過ごされやすい |
ここが大事なところです。買い物ができなくなってから、着替えができなくなります。だから IADL の変化に気づけると、ADL が落ちる前に手が打てます。
ところが IADL の低下は見過ごされます。一人暮らしの方が買い物に行かなくなっても、外からは分かりません。「最近お買い物は」と聞いて初めて出てきます。
老研式活動能力指標の十三項目
日本で作られた尺度です。十三の問いに「はい」「いいえ」で答え、はいを 1 点として合計します。満点は 13 点。三つの力に分かれています。
手段的自立(5 問)
- バスや電車を使って一人で外出できますか
- 日用品の買い物ができますか
- 自分で食事の用意ができますか
- 請求書の支払いができますか
- 銀行預金・郵便貯金の出し入れが自分でできますか
知的能動性(4 問)
- 年金などの書類が書けますか
- 新聞を読んでいますか
- 本や雑誌を読んでいますか
- 健康についての記事や番組に関心がありますか
社会的役割(4 問)
- 友だちの家を訪ねることがありますか
- 家族や友だちの相談にのることがありますか
- 病人を見舞うことができますか
- 若い人に自分から話しかけることがありますか
三つのうち、どこが落ちているかを見ます
合計点より、こちらの方が役に立ちます。
手段的自立が落ちている。体の問題か、認知の問題かを切り分けてください。足が痛くて買い物に行けないのと、お金の計算ができなくて行けないのは、まったく別の話です。
知的能動性が落ちている。新聞を読まなくなった、関心が薄れた。これは認知の働きか、意欲の低下です。うつが隠れていることもあります。
社会的役割が落ちている。人を訪ねなくなった、相談にのらなくなった。ここがいちばん早く落ちて、いちばん見過ごされます。そしてここを支えるのが、通所介護の本来の仕事です。
社会的役割は、取り戻せます
手段的自立と知的能動性は、下がると戻りにくいところがあります。しかし社会的役割は、場さえあれば戻ります。
相談にのる人がいない、話しかける若い人がいない。それは能力の問題ではなく、機会がないだけのことがあります。
レクの時間に、教える側に回っていただく。若い職員が知らない漢字を読んでもらう。行事の準備を手伝っていただく。役割をお渡しすると、この四項目は動きます。
魚へんの漢字や昭和のできごとクイズを、教えていただく形で使うのは、そのためです。
聞き方のこつ
ご本人にお尋ねしてください。これが本来の使い方です。
ご家族に聞くと、「できない」側に寄ります。ご家族は心配しておられるからです。ご本人に聞くと「できる」側に寄ります。答えが食い違ったときは、両方を記録に残してください。その差自体が情報になります。
そして、試験のように連続で聞かないでください。会話の中に混ぜます。「新聞はとっておられますか」「最近どなたかお訪ねになりました」。十三問を一気に並べると、答える側が構えます。
記録として残す意味
一回きりの点数には意味がありません。半年ごとに取って、どの項目が変わったかを見てください。
そして、上がったときも記録してください。通所を始めてから社会的役割が二つ増えた。これは事業所の仕事が効いた証拠です。ご家族にもケアマネジャーにも、伝える価値のある事実です。
ほかの尺度と並べる
- ADL(バーセルインデックス) 基本的な動作を百点満点で
- 障害高齢者の日常生活自立度 体の状態を一つのランクで
- 認知症高齢者の日常生活自立度 認知症による生活の困難さを
- 長谷川式 認知の働きそのものを点数で
同じ日にまとめて取り、同じ紙に綴じておく。半年ごとに繰り返すと、その方の一年が見えます。
ご家族には、点ではなく場面を
ご家族が知りたいのは、日々の様子です。写真を一枚と、一行の言葉。私たちが作る事業所の頁では、写真を入れて一行書けば、その場で公開されます。介護の事業所だけのホームページ制作をご覧ください。
