昭和のクイズは、答えを当てるためのものではありません。「東京オリンピック」という言葉が出た瞬間に、そのころ何をしていたかを話し始める。そこが本番です。
進め方
職員が読み上げ、みんなで答える。一人ずつ当てていくと、答えられなかった方がつらくなりますので、全体に投げかけてください。
答えが出たら、必ず一言足します。「そのころ、何をされていましたか」。ここから先が本番です。
東京オリンピックの年に働き始めた、万博に子どもを連れて行った、テレビを買った日のこと。一問で十分話が続くことがありますので、時間は多めに見ておいてください。
年号が出なくても、構いません
「昭和何年ですか」という問いに、正確に答えられる方は多くありません。それでよいのです。
大事なのは、そのできごとを覚えているかどうかではなく、そのころの自分の暮らしを思い出せるかどうかです。「オリンピックのころは、まだ嫁に来る前でした」。この一言が出れば、そのクイズは成功しています。
ヒントの欄に西暦を入れてありますので、職員が補えます。「昭和三十九年、千九百六十四年ですね」と添えると、思い出しやすくなります。
入れていない話題があります
戦争と災害と事件の問題は、入れていません。
つらい記憶に触れる可能性があるためです。この年代の方は、ほぼ全員が何かを経験しておられます。こちらから水を向けることはしません。
ご本人が自分から話し始められたときは、遮らずに聞いてください。話したいときに話せることの方が、大切です。
若い職員が知らなくても構いません
むしろ、知らない方がうまくいくことがあります。「私は生まれていないので、教えてください」と言うと、利用者の方が先生になります。
教える側に回っていただくこと。これが、この年代の方にとって大きな意味を持ちます。日常では、教わる側、してもらう側にいることが多いからです。
職員用に「答えも一緒に印刷」を一枚持っておけば、進行に困ることはありません。
持ち物があると、もっと広がります
そのころの道具が一つあると、話が変わります。
- 黒電話。ダイヤルを回していただくだけで、手が思い出します
- そろばん。使っていた方は、今でも指が動きます
- 古い硬貨。手に取って見ていただく
- 当時の歌。一曲流すだけで、口ずさまれます
物が無くても、写真でも構いません。新聞の切り抜きや、地域の古い写真集が使えます。図書館で借りられることもあります。
認知機能との関係
この課題で使っているのは、長く保たれている記憶です。認知症が進んでも、若いころのことはよく残っています。
だから、今日の日付が分からない方でも、結婚した年のことは覚えておられます。できないことではなく、できることを使う。これが回想を使ったレクの考え方です。
そして、思い出して話す時間そのものに意味があります。答えられたという経験は、日常で「分からない」ことが増えていく方にとって貴重です。
記憶の状態を記録として残したいときは、長谷川式の採点で項目ごとに残せます。合計点ではなく、どの項目が保たれているかを見てください。
聞いた話を、記録に残してください
レクの時間に出てきた話は、その方を理解する材料になります。どこで生まれ、何の仕事をして、何を楽しみにしてきたか。
アセスメントの場では出てこない話が、クイズの時間には出てきます。聞いた話は、生活歴の欄に書き足しておいてください。次に担当する職員を助けます。
生活歴の書き方もあわせてご覧ください。
その日の様子を、残しておいてください
ご家族は、施設で何をしているのかを知りたいと思っておられます。写真を一枚と、一行の言葉。それがあるだけで伝わります。
私たちが作る事業所の頁では、写真を入れて一行書けば、その場で公開されます。介護の事業所だけのホームページ制作をご覧ください。



