この判定は、認知症の重さを測るものではありません。認知症によって日常生活にどれだけ支障が出ているかを見るものです。同じ診断でも、暮らし方が違えばランクは変わります。
七つの段階
| ランク | 状態 |
|---|---|
| Ⅰ | 何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内および社会的にほぼ自立している |
| Ⅱa | 支障を来す症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。家庭の外で見られる |
| Ⅱb | 同じ状態が、家庭の中でも見られる |
| Ⅲa | 支障を来す状態がときどき見られ、介護を必要とする。日中を中心として見られる |
| Ⅲb | 同じ状態が、夜間を中心として見られる |
| Ⅳ | 支障を来す状態が頻繁に見られ、常に介護を必要とする |
| M | 著しい精神症状や周辺症状、あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする |
分かれ目は「頻度」と「場所」です
まず頻度で三つに分かれます。多少あるが注意していれば自立できる(Ⅱ)、ときどきあり介護が必要(Ⅲ)、頻繁にあり常に介護が必要(Ⅳ)。
そして Ⅱ と Ⅲ だけが、さらに場所や時間で分かれます。Ⅱ は家庭の外か中か。Ⅲ は日中か夜間か。
Ⅱa と Ⅱb の順番には理由があります。困りごとは、まず家庭の外から出ます。買い物で同じものを買ってくる、交通機関を乗り間違える。家の中は勝手が分かっているので、あとから出てきます。
Ⅲa と Ⅲb を分ける意味
同じ Ⅲ でも、日中に出るのか夜間に出るのかで、事業所の関わり方がまったく変わります。
Ⅲa は着替え、食事、排泄が上手にできない、時間がかかる。通所の時間に出る困りごとです。私たちが直接関われます。
Ⅲb は夜間に起きて歩きまわる、大声を出す。これは家族が受け止めています。通所では見えません。だから Ⅲb の方のご家族は、私たちが想像しているより疲れています。
判定が Ⅲb なら、ご家族の様子にも目を向けてください。ショートステイの提案や、レスパイトの話が必要な時期かもしれません。
M は、別の扱いです
M は段階の一番上ではありません。専門医療が必要な状態を示す、別の区分です。著しい精神症状や重篤な身体疾患がある場合に該当します。
判定が M になったときは、速やかに医師に相談してください。事業所の対応の工夫で解決する段階ではありません。
体の判定とは、独立しています
これは認知症による生活の困難さを見るものです。体の状態は障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)という別の基準で判定します。
体は自立しているのに認知症が進んでいる方は、J1 かつ Ⅲa ということがあります。この組み合わせがいちばん目が離せません。歩けるので、どこへでも行けてしまうからです。
逆に C2 かつ Ⅰ の方もおられます。体は動かないが、頭ははっきりしている。この方には、体の介助をしながら、判断はご本人に委ねる関わりが要ります。
二つを並べて見ることで、その方の姿が立体になります。片方だけを見て「重い」「軽い」と決めないでください。
認知の働きそのものを測るなら
この判定は「生活にどれだけ支障が出ているか」を見るものです。認知の働きそのものを点数で見たいときは、長谷川式の採点をお使いください。
二つは違うものを測っています。長谷川式で点が低くても、家族の支えがあって生活が回っていれば、自立度は Ⅱ ということがあります。
記録として残す意味
一回の判定より、変化に意味があります。半年前は Ⅱb だった方が Ⅲa になった。これは介護の量が増えたということで、計画の見直しの合図です。
そして下がったときだけでなく、上がったときも記録してください。環境が整って落ち着かれることがあります。薬が合った、通所に慣れた、家族の関わり方が変わった。良くなった記録は、何が効いたかを教えてくれます。
日付を入れて印刷し、前回のものと並べて綴じてください。上の道具では判定日が自動で入ります。
ご家族への伝え方
ランクだけを伝えないでください。
「Ⅲa です」と言われても、ご家族には何のことか分かりません。伝えるのは、どういう場面で何が起きているか、そして私たちがどう関わるかです。ランクは、専門職どうしが同じ言葉で話すための記号にすぎません。
ご家族が知りたいのは、日々の様子です。写真を一枚と、一行の言葉。私たちが作る事業所の頁では、写真を入れて一行書けば、その場で公開されます。介護の事業所だけのホームページ制作をご覧ください。
