ADL は Activities of Daily Living、日常生活動作のことです。食べる、着替える、トイレへ行く、風呂に入る、歩く。生きていくうえで毎日行う動作を指します。それを点数にしたものが、バーセルインデックスです。
ADL とは何か
介護の現場で「ADL が落ちた」と言うとき、指しているのはこの日常生活動作です。歩けなくなった、着替えに介助が要るようになった、トイレが間に合わなくなった。
ADL は基本的日常生活動作とも呼ばれ、生活の土台にあたります。これに対して、買い物や金銭の管理といった、もう少し複雑な動作を IADL(手段的日常生活動作)と呼びます。
順番としては、まず IADL が落ち、それから ADL が落ちます。買い物ができなくなってから、着替えができなくなる。この順です。だから IADL の変化に気づけると、早く手が打てます。
バーセルインデックスの十項目
| 項目 | 満点 | 見ているもの |
|---|---|---|
| 食事 | 10 | 自助具を使ってもよい。標準的な時間内に食べ終えるか |
| 車いすからベッドへの移乗 | 15 | ブレーキとフットレストの操作を含む |
| 整容 | 5 | 洗面、整髪、歯みがき、ひげ剃り |
| トイレ動作 | 10 | 衣服の操作と後始末を含む |
| 入浴 | 5 | |
| 歩行 | 15 | 45 メートルを基準にする。車いすの操作でも点が付く |
| 階段昇降 | 10 | 手すりの使用は問わない |
| 着替え | 10 | 靴、ファスナー、装具の着脱を含む |
| 排便コントロール | 10 | 浣腸と坐薬の取り扱いを含む |
| 排尿コントロール | 10 | 収尿器の取り扱いを含む |
合計で百点です。移乗と歩行だけが 15 点で、ほかより重く配点されています。この二つが生活の自由度を最も左右するからです。
採点のときに間違えやすいところ
「できるか」ではなく「しているか」で採点します。
手すりを使えば階段を上れるが、危ないので普段は使っていない。この場合は、していない側で採点します。能力ではなく、日常の実態を見ます。
歩行の 5 点は分かりにくいところです。歩けない方でも、車いすを自分で 45 メートル操作できれば 5 点が付きます。移動の手段を問わず、自分で移動できるかを見ています。
排便と排尿は動作ではなく、失禁の有無で採点します。トイレまで自分で行けるかどうかは、トイレ動作の項目で見ます。二つを混ぜないでください。
点数の読み方
区切りに公式の定めはありません。実務では、おおよそ次のように読まれます。
| 点 | おおよその状態 |
|---|---|
| 85 〜 100 | 自立に近い |
| 60 〜 84 | 部分的な介助を要する |
| 40 〜 59 | 多くの場面で介助を要する |
| 0 〜 39 | 全面的な介助を要する |
ただし、合計点より項目ごとの内訳の方が役に立ちます。同じ 60 点でも、歩けるが排泄に介助が要る方と、歩けないが身の回りは自分でできる方では、支援の中身がまったく違います。
合計ではなく、どの項目が動いたかを見る
前回 75 点、今回 70 点。この 5 点がどこで動いたかが大事です。
入浴の 5 点が落ちたのなら、浴室の環境か、体力か、意欲の問題です。整容の 5 点が落ちたのなら、手の動きか、認知の働きが関わっているかもしれません。
印刷すると項目ごとに残りますので、前回のものと並べて綴じてください。どこが動いたかが一目で分かります。
ADL 維持等加算との関係
通所介護の ADL 維持等加算では、バーセルインデックスが用いられます。評価の時期、対象者の要件、提出の方法が定められていますので、算定にあたっては指定権者の示す様式と手順に従ってください。
この頁は、日々の記録と変化を見るための道具です。加算の算定書類そのものではありません。
加算の一覧と月額の試算は加算の早見でご覧いただけます。
体の状態と、認知の状態を並べる
ADL は動作を見るものです。あわせて次の三つを並べると、その方の姿が立体になります。
- 障害高齢者の日常生活自立度 体の状態を一つのランクで
- 認知症高齢者の日常生活自立度 認知症による生活の困難さを
- 長谷川式 認知の働きそのものを点数で
四つを同じ日に取って、同じ紙に綴じておく。半年ごとに繰り返すと、その方の一年が見えます。
ご家族には、点ではなく場面を伝える
「70 点でした」では何も伝わりません。「先月はご自分でお風呂に入れていましたが、今月は背中を洗うところをお手伝いしています」。これなら伝わります。
ご家族が知りたいのは、日々の様子です。私たちが作る事業所の頁では、写真を入れて一行書けば、その場で公開されます。介護の事業所だけのホームページ制作をご覧ください。
