魚へんの漢字は、高齢の方にとって難しくありません。鰤も鰆も鰹も、ほとんどの方が読まれます。若い職員より読めます。だからこれは、できないことを練習するレクではなく、できることを見せる場になります。
四つの形で使えます
| 形 | 何に使うか |
|---|---|
| 一覧 | 読み方と一言つき。職員が手元に持って、読み上げる |
| カード | 切って使います。厚紙に印刷して、一枚ずつ見せる |
| 台紙 | 読み方が書いてある枠。そこにカードを置いていただく |
| 書き取り | 漢字を見て、読み方を書く。お一人ずつ |
いちばん盛り上がるのは、カードと台紙を組み合わせた形です。デイサービスで実際に使われている形でもあります。
カードと台紙の作り方
カードは厚手の紙に印刷して、線で切ります。一枚に四つの形にすると、名刺より少し大きいくらいになります。離れた席からも見えます。
字の大きさは、印刷すると四十ミリメートルほどになります。これは、二メートル離れた席から読める大きさです。目の弱い方がおられる事業所では、この大きさが要ります。
台紙は普通紙で構いません。読み方の枠が並んでいますので、そこにカードを置いていただきます。読めた方から順に置いていくと、全員で一枚を作る形になります。
ラミネートすれば何年でも使えます。手に取って、めくって、置く。この動作そのものが手の運動にもなります。
進め方
カードを一枚ずつ見せて、みんなで読みます。読めた方に台紙へ置いていただきます。全部置けたら終わりです。
大事なのは、読めたあとです。その魚の話を聞いてください。
「鰤は、お正月に食べられましたか」「鰹のたたきは、召し上がったことがありますか」。漁師町で育った方なら、その場で話が始まります。海のない土地で育った方でも、魚屋の記憶があります。
一覧に添えてある一言が、話の入口になります。出世魚の話、旬の話、地方の呼び名。職員が知らない話が、必ず出てきます。
覚えやすい字から始めます
季節が入っている字は、意味から答えが出せます。
| 字 | 読み | つくり |
|---|---|---|
| 鰆 | さわら | 魚へんに春 |
| 鰍 | かじか | 魚へんに秋 |
| 鱈 | たら | 魚へんに雪 |
| 鰤 | ぶり | 魚へんに師(師走の魚) |
この四つを最初に出すと、考える手がかりがあるので、答えやすくなります。そこから難しい字へ進みます。
読めない字が出たときは
答えを先に言わないでください。まずヒントを出します。「春を告げる魚です」「雪の降るころが旬です」。
それでも出ないときは、選択肢を三つ出します。「さわら、さんま、さより。どれでしょうか」。選ぶ形なら答えられます。
最後まで出なくても構いません。そのときは答えを言って、すぐにその魚の話へ移ります。読めなかったことで終わらせないことです。
出世魚の話は、いちばん広がります
鰤も、鱸も、鰡も、鮗も、成長するにつれて名前が変わります。
| 魚 | 名前の変わり方(関東の例) |
|---|---|
| 鰤 | ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ |
| 鱸 | セイゴ、フッコ、スズキ |
| 鰡 | オボコ、イナ、ボラ、トド |
| 鮗 | シンコ、コハダ、ナカズミ、コノシロ |
呼び名は地方によって変わります。だから「そちらでは何と呼んでいましたか」と聞くと、その方の出身地の話になります。生活歴の記録が薄い方がおられるなら、この時間が聞き取りの機会になります。
認知機能との関係
使っているのは、長く保たれている言葉の記憶です。認知症が進んでも、若いころから見てきた字はよく残っています。
今日の日付が分からない方が、鰰を読まれる。これは珍しいことではありません。できないことではなく、できることを使う。それがこのレクの考え方です。
そして、教える側に回っていただけます。若い職員が読めない字を、利用者の方が読む。日常では、教わる側、してもらう側にいることが多い方にとって、これは大きな意味を持ちます。
記録として残したいときは、長谷川式の採点で項目ごとに残せます。合計点ではなく、どの項目が保たれているかを見てください。保たれている力を使うのが、レクの組み立て方です。
聞いた話を、記録に残してください
この時間に出てきた話は、その方を理解する材料になります。どこの海の近くで育ったか、何を食べてきたか、誰と食べたか。
アセスメントの場では出てこない話が、カードを並べている時間に出てきます。聞いた話は、生活歴の欄に書き足しておいてください。生活歴の書き方もあわせてご覧ください。
その日の様子を、残しておいてください
ご家族は、施設で何をしているのかを知りたいと思っておられます。写真を一枚と、一行の言葉。それがあるだけで伝わります。
私たちが作る事業所の頁では、写真を入れて一行書けば、その場で公開されます。介護の事業所だけのホームページ制作をご覧ください。



