常勤換算は、人数ではなく時間で職員を数える方法です。指定を受けるときにも、毎年の報告のときにも、運営指導のときにも出てきます。式そのものは一行しかありませんが、割る数の決め方と小数点の切り方で結果が変わります。
常勤換算とは、人数ではなく時間で数える方法です
介護のサービスは、週に何日か働く方や、朝だけ入る方や、午後だけ入る方で成り立っています。この人たちを一人、二人と数えても、実際にどれだけの手があるのかは分かりません。そこで、働いた時間を全部足して、常勤の職員が働くはずの時間で割ります。出てきた数字が常勤換算数です。
週 40 時間の職員が二人と、週 20 時間の職員が一人いる事業所なら、勤務延べ時間は 100 時間です。これを 40 時間で割って 2.5 になります。三人いても、常勤換算では 2.5 人と数えます。
式は一つだけです
常勤換算数 は、その事業所の従業者の勤務延べ時間数を、常勤の従業者が勤務すべき時間数で割った数です。
常勤換算数 = 勤務延べ時間数 ÷ 常勤の職員が勤務すべき時間数
期間をそろえることだけ気をつけてください。一週間で数えるなら分母も一週間、四週間で数えるなら分母も四週間ぶんにします。上の道具では、期間を選ぶと分母が自動でそろいます。
三十二時間を下回るときは、三十二時間で割ります
ここがいちばん間違いの多いところです。常勤の職員が勤務すべき時間として就業規則に定めた時間が、週 32 時間を下回るときは、32 時間を基準にして計算しなければなりません。
たとえば週 30 時間を常勤と定めた事業所が、勤務延べ時間 75 時間を 30 で割って 2.5 と出したとします。これは誤りで、正しくは 32 で割って 2.34 です。基準が 2.5 なら、この時点で足りていません。
短い時間を常勤と定めれば常勤換算数が増えるように見えますが、そうはならない仕組みになっています。上の道具では、32 を下回る数字を入れると、自動で 32 に置き換えて計算し、そのことを結果の下に書きます。
小数点は第二位より下を切り捨てます
四捨五入ではありません。切り捨てです。2.499 は 2.49 であって 2.5 にはなりません。訪問介護の訪問介護員等のように「常勤換算で 2.5 人以上」と決まっているサービスでは、この一桁で基準を満たすかどうかが変わります。
逆に言えば、2.5 ちょうどを狙って組んだ勤務表は危ういということです。誰かが半日休んだだけで下回ります。運営指導では月ごとに見られますから、少し余裕を持たせた組み方をお勧めします。
期間をそろえないと、答えが四倍ずれます
勤務延べ時間を四週間ぶんで足したのに、割る数を一週間ぶんのままにしてしまう。これが二番目に多い間違いです。四週間ぶんの 400 時間を週 40 時間で割ると 10 になりますが、正しくは 160 時間で割って 2.5 です。四倍の差が出ます。
どちらの期間で数えるかは、指定権者の様式に合わせてください。多くの自治体は四週間ぶんの勤務表を求めます。上の道具では期間を選ぶと分母が自動でそろいますので、掛け忘れは起きません。
月ごとに数えるときは、その月の暦日数を七で割って週数を出し、常勤の週の時間に掛けます。三十一日の月なら 40 × 31 ÷ 7 で 177.1 時間です。ここも自治体によって扱いが違いますので、様式の指示に従ってください。
常勤と、常勤換算は、別のものです
言葉が似ているので混ざりますが、別のものです。常勤は、その事業所で定めた勤務すべき時間を全部働いている職員そのものを指します。常勤換算は、常勤も非常勤もまとめて時間で数え直した数字です。
訪問看護ステーションの看護職員は「常勤換算で 2.5 以上、うち 1 人は常勤」と決まっています。非常勤ばかりを集めて 2.5 を超えても、常勤が一人もいなければ基準を満たしません。数字だけを見て安心しないでください。
もう一つ、専従と兼務の区別もあります。専従は、その職務だけに就いていることです。兼務が認められる職種と、認められない職種があります。認められていない職種で兼務させていると、常勤換算数が足りていても指摘を受けます。
数え方を間違えやすいところ
休憩の時間
数えません。八時間の勤務で一時間の休憩があるなら、七時間として足します。タイムカードの拘束時間をそのまま足すと、実際より大きな数字が出ます。運営指導で最初に見られるのがここです。
兼務している職員
職務ごとに時間を分けます。管理者と介護職員を兼ねている方が週 40 時間働いていて、そのうち管理の仕事が 10 時間なら、介護職員としては 30 時間で数えます。同じ時間を二つの職務に重ねて数えることはできません。勤務表に、どの時間がどの職務かを書き分けておく必要があります。
研修と移動の時間
事業所の指示で受ける研修の時間や、訪問系サービスでの移動の時間は、サービスの提供のための準備等にあたるものとして数えられる場合があります。ただし扱いは指定権者によって差がありますので、迷ったら確認してください。
育児のために短時間勤務をしている職員
育児・介護休業法による所定労働時間の短縮の措置を受けている職員が、週 30 時間以上勤務しているときは、常勤として扱えます。この場合は実際の勤務時間ではなく、常勤の一人として数えます。
産前産後休業や育児休業に入っている職員
休業に入った常勤職員の代わりに、同じ資格を持つ複数の非常勤職員を置いて常勤換算で満たす方法が認められています。人が一人抜けたからといって、すぐに基準を欠くわけではありません。
サービスごとに必要な数
| サービス | 職種 | 必要な常勤換算数 |
|---|---|---|
| 訪問介護 | 訪問介護員等 | 2.5 以上 |
| 訪問看護ステーション | 看護職員 | 2.5 以上(うち 1 人は常勤) |
| 通所介護 | 介護職員 | 利用者数で変わります |
| 通所介護 | 生活相談員 | 提供時間数と同じ以上 |
通所介護の介護職員は、利用者が 15 人までなら 1 人以上、15 人を超えるときは、超えた部分を 5 で割った数に 1 を足した数以上と決められています。利用者の数で必要な数が動きますので、別の道具で見られるようにしています。
数字が足りなかったときに、どうするか
計算して基準を下回っていたと分かったら、まず勤務表の数え方を疑ってください。休憩を引き忘れている、兼務の時間を重ねて数えている、この二つで実際より少なく出ていることがあります。逆に、多く出ているときも同じ二つが原因です。
数え直しても足りないときは、既にいる職員の時間を増やすのが最も速い方法です。週 20 時間の職員を週 24 時間にするだけで、常勤換算で 0.1 増えます。新しく人を採るより、今いる方に少し多く入っていただく方が現実的です。
それでも足りないときは、採用に動くことになります。介護の求人は、事業所の名前を検索してから応募されます。求人サイトに出す前に、自分の事業所の頁で仕事の内容と勤務の形が分かるようにしておくと、応募が来る確率が変わります。人員基準は、採用の話と地続きです。
運営指導で見られるところ
常勤換算そのものより、その根拠になる勤務表を見られます。実際に見られるのは次の四点です。
- 勤務予定ではなく、実際に働いた時間で作られているか
- 休憩の時間が除かれているか
- 兼務している職員の時間が職務ごとに分かれているか
- 常勤の職員が勤務すべき時間が、就業規則の定めと合っているか
勤務表は毎月作るものですから、作った時点で常勤換算数まで出しておくと、後から慌てずに済みます。上の道具で出した数字は、そのまま印刷して勤務表と一緒に綴じておけます。
