都道府県のクイズは、正解を当てることが目的ではありません。その土地の名前が出た瞬間に、行ったことのある方が話し始める。そこがこのレクの中心です。
進め方
職員が問題を読み上げ、みんなで答える形がいちばん広がります。一人ずつ順番に当てていくと、答えられなかった方がつらくなりますので、全体に投げかけてください。
答えが出たら、そこで終わらせないでください。「行かれたことはありますか」と一言足します。ここから先が本番です。
新婚旅行で行った、息子が住んでいる、戦争のときに疎開していた。都道府県の名前は、思い出の引き出しになります。一問で十分話が続くことがありますので、時間は多めに見ておいてください。
答えられない方への配り方
ヒントを入れて印刷しておくと、その場で出せます。「お米とお酒で知られています」「武田信玄の国です」。この一言で思い出される方が多くあります。
それでも出ないときは、選択肢を三つ作ります。「新潟県、富山県、石川県。どれでしょうか」。三つから選ぶ形なら、多くの方が答えられます。
分からないまま次へ進むのは、避けてください。一度そうなると、その方は手を挙げなくなります。答えられた形で終えることが、次につながります。
地図を横に置くと、広がります
日本地図を一枚、壁に貼るか、机に置いてください。答えが出たら、その場所を指してもらいます。
これだけで、二つのことが起きます。位置を思い出そうとすることで頭を使いますし、隣の県の話へ自然に広がります。「その隣が、私の生まれたところです」という言葉が出ます。
大きめの地図がよいのですが、なければ新聞の天気予報の欄でも使えます。日本の形が見えれば十分です。
出身の県を、先に知っておきます
参加される方の出身地を、あらかじめ確かめておいてください。その県の問題が出たときに、その方に話を振れます。
「山形県です」と答えが出たときに、「○○さん、山形でしたね」と続けると、その方がその日の主役になります。生活歴の記録が、そのまま使えます。
出身地が分からない方がおられるなら、これを機に聞いてみてください。生活歴の書き方にも書きましたが、生まれと育ちは、支援のいろいろな場面で効く情報です。
触れない方がよいこと
一つだけ気をつけてください。戦争や災害に関わる土地の話です。
広島、長崎、沖縄。この三つの県が出たとき、ご自分の経験を語り始める方がおられます。そのときは、遮らずに聞いてください。ただし、こちらから水を向けることはしません。
東北の県で、震災の話になることもあります。同じです。ご本人が話されるなら聞く、こちらからは聞かない。この線を守ってください。
認知機能との関係
この課題で使っているのは、長く保たれている記憶です。認知症が進んでも、若いころのことはよく残っています。
だから、今日の日付が分からない方でも、新婚旅行で行った土地は覚えておられます。できないことではなく、できることを使う。これが回想を使ったレクの考え方です。
答えられたという経験そのものに意味があります。日常では「分からない」ことが増えていく方にとって、答えられる場面は貴重です。
記憶の状態を記録として残したいときは、長谷川式の採点で項目ごとに残せます。合計点ではなく、どの項目が保たれているかを見てください。保たれている力を使うのが、レクの組み立て方です。
印刷の使い分け
| 誰が使うか | 印刷の仕方 |
|---|---|
| 読み上げる職員 | 答えも一緒に印刷。ヒント付き |
| お一人ずつ書いていただく | 問題だけ印刷。答えを書く欄を入れる |
| みんなで声に出す | 問題だけ印刷。答えを書く欄は入れない |
書くのが難しい方がおられるときは、書く欄を入れないでください。空欄があると、埋めなければと思わせてしまいます。
その日の様子を、残しておいてください
レクの時間は、ご家族がいちばん知りたい時間です。どんな顔で過ごしているのか、誰と話しているのか。面会に来られたときの数十分では分かりません。
写真を一枚と、一行の言葉。それがあるだけで伝わります。ケアマネジャーが事業所を選ぶときにも、ここを見ています。
私たちが作る事業所の頁では、写真を入れて一行書けば、その場で公開されます。制作会社に依頼して数日待つ必要がありません。介護の事業所だけのホームページ制作をご覧ください。



