生活歴の欄は、空欄のまま提出されることの多い欄です。書き方が決まっておらず、何のために書くのかも共有されていないためです。ここでは、何を書くのか、どう聞くのか、そしてそれが支援にどうつながるのかを整理します。
生活歴は、その方を理解するための欄です
アセスメントシートのほかの欄は、今の状態を記録します。生活歴だけが、今に至るまでを記録します。
なぜそれが要るのか。同じ「入浴を拒む」という状態でも、理由が違えば対応が違うからです。銭湯で育って一人で入るのが当たり前だった方と、家族に世話をされることを恥ずかしく感じている方では、声のかけ方が変わります。
生活歴は、その違いを見つけるための欄です。書くこと自体が目的ではありません。
何を書くか
| 項目 | 聞くこと | 支援に効く場面 |
|---|---|---|
| 生まれと育ち | どこで生まれ、どこで育ったか | 方言、食べ物の好み、季節の行事 |
| 仕事 | 何をしてきたか。いつまで働いたか | 役割を持ちたい方か、指図を嫌う方か |
| 家族 | 誰と暮らしてきたか。今は誰がいるか | 誰に頼れるか。触れない方がよい話題 |
| 住まい | どこに住んできたか。今の家に何年か | 環境が変わることへの耐性 |
| 趣味と楽しみ | 好きだったこと。今も続けているか | 活動の入口。会話のきっかけ |
| 一日の過ごし方 | 起きる時刻、食事、寝る時刻 | サービスの時間を合わせる |
| 大切にしていること | 譲れないこと、こだわり | ここを崩すと関係が壊れます |
記入の例
薄い書き方
「農業を営んでいた。妻と二人暮らし。趣味は特になし」
使える書き方
「二十歳から七十五歳まで、この土地で米作りをしてこられた。田を人に貸したのは八十歳のとき。今も朝は五時に目が覚める。奥様と二人暮らし。長男が県外におられ、月に一度電話がある。趣味はと尋ねると『特にない』と言われるが、庭の手入れは毎日されている。人の世話になることを好まれず、『自分でやる』という言葉が何度も出た」
後者からは、支援の手がかりがいくつも取れます。朝が早いので送迎の時刻を早めにできる。庭仕事という活動がある。自分でやりたい方なので、先回りして手を出すと関係が悪くなる。
長さは、これくらいで十分です。無理に長く書く必要はありませんが、「特になし」で終わらせないでください。
どう聞くか
初回の訪問で全部聞こうとしないでください。生活歴は、関係ができてから出てくる話です。
入口として使いやすいのは、家の中にあるものです。写真、賞状、道具、置物。「これはどちらの写真ですか」から始めると、自然に話が広がります。
仕事の話は、多くの方が話したがります。「長くお勤めでしたか」と尋ねると、そこから家族の話や住まいの話につながっていきます。
逆に、答えにくい問いもあります。「趣味は何ですか」は、意外と答えにくい問いです。「今日は何をして過ごされましたか」の方が答えやすく、そこから本当の楽しみが見えてきます。
語りたがらないことを、無理に聞かない
戦争のこと、離別のこと、事業の失敗、家族との不和。話したくない過去を持っている方がおられます。
聞き出そうとしないでください。話が逸れたら、そのまま逸らせておきます。そして、逸らされたという事実だけを記録に残します。「家族の話になると話題を変えられる」。この一行が、次に担当する人を助けます。
書いてよいのは、ご本人が語ったことと、こちらが見て分かったことです。推測は書きません。書くなら「〜と思われる」ではなく「〜と話された」の形にしてください。
ご家族から聞くとき
ご本人が認知症などで語れないときは、ご家族から聞きます。このとき、ご家族の見方が入ることに気をつけてください。
「昔から頑固で」「わがままな人でした」。ご家族の言葉には、長い関係の感情が乗っています。そのまま書くと、その方を知らない職員が偏った見方で接することになります。
事実と、ご家族の見方を分けて書きます。「三十年間、自営で理髪店を営んでいた(長女の話)」「『昔から人に指図されるのが嫌いだった』と長女は話される」。後者は、ご家族の言葉として書きます。
書いたものを、どう使うか
アセスメントシートの引き出しにしまってしまうと、書いた意味がありません。
使い方は三つあります。一つ目は、担当者会議で共有すること。サービス事業所の職員が、その方をどう理解すればよいかを知る材料になります。
二つ目は、新しい職員が入ったときに読ませること。何度も同じ質問をして、ご本人を疲れさせずに済みます。
三つ目は、行き詰まったときに戻ること。支援がうまくいかなくなったとき、生活歴を読み直すと理由が見つかることがあります。
認知症の方の生活歴は、とくに効きます
記憶が新しいものから失われていくため、昔のことほど残っています。生活歴に書かれたことが、そのまま会話の材料になります。
米作りをしてこられた方に、稲の話をする。理髪店をされていた方に、はさみの話をする。それだけで、表情が変わることがあります。
そして、行動の理由が分かることがあります。夕方になると出て行こうとされる方が、実は毎日その時刻に子どもを迎えに行っていた。生活歴を知らなければ、ただの徘徊に見えます。
認知機能の評価と合わせて見ると、さらに手がかりが増えます。長谷川式の採点では、どの項目が落ちているかまで残せます。合計点ではなく、項目ごとに見てください。
ケアマネジャーとご家族と求職者に届く形で作ります。送迎の到着予告は、後から積めるオプションです。相談と見積もりは無料です。
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