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生活歴の書き方。アセスメントシートの記入例と、聞き方

2026.09.11空音開発約 4 分で読めます

生活歴の欄は、空欄のまま提出されることの多い欄です。書き方が決まっておらず、何のために書くのかも共有されていないためです。ここでは、何を書くのか、どう聞くのか、そしてそれが支援にどうつながるのかを整理します。

生活歴は、その方を理解するための欄です

アセスメントシートのほかの欄は、今の状態を記録します。生活歴だけが、今に至るまでを記録します。

なぜそれが要るのか。同じ「入浴を拒む」という状態でも、理由が違えば対応が違うからです。銭湯で育って一人で入るのが当たり前だった方と、家族に世話をされることを恥ずかしく感じている方では、声のかけ方が変わります。

生活歴は、その違いを見つけるための欄です。書くこと自体が目的ではありません。

何を書くか

項目聞くこと支援に効く場面
生まれと育ちどこで生まれ、どこで育ったか方言、食べ物の好み、季節の行事
仕事何をしてきたか。いつまで働いたか役割を持ちたい方か、指図を嫌う方か
家族誰と暮らしてきたか。今は誰がいるか誰に頼れるか。触れない方がよい話題
住まいどこに住んできたか。今の家に何年か環境が変わることへの耐性
趣味と楽しみ好きだったこと。今も続けているか活動の入口。会話のきっかけ
一日の過ごし方起きる時刻、食事、寝る時刻サービスの時間を合わせる
大切にしていること譲れないこと、こだわりここを崩すと関係が壊れます

記入の例

薄い書き方

「農業を営んでいた。妻と二人暮らし。趣味は特になし」

使える書き方

「二十歳から七十五歳まで、この土地で米作りをしてこられた。田を人に貸したのは八十歳のとき。今も朝は五時に目が覚める。奥様と二人暮らし。長男が県外におられ、月に一度電話がある。趣味はと尋ねると『特にない』と言われるが、庭の手入れは毎日されている。人の世話になることを好まれず、『自分でやる』という言葉が何度も出た」

後者からは、支援の手がかりがいくつも取れます。朝が早いので送迎の時刻を早めにできる。庭仕事という活動がある。自分でやりたい方なので、先回りして手を出すと関係が悪くなる。

長さは、これくらいで十分です。無理に長く書く必要はありませんが、「特になし」で終わらせないでください。

どう聞くか

初回の訪問で全部聞こうとしないでください。生活歴は、関係ができてから出てくる話です。

入口として使いやすいのは、家の中にあるものです。写真、賞状、道具、置物。「これはどちらの写真ですか」から始めると、自然に話が広がります。

仕事の話は、多くの方が話したがります。「長くお勤めでしたか」と尋ねると、そこから家族の話や住まいの話につながっていきます。

逆に、答えにくい問いもあります。「趣味は何ですか」は、意外と答えにくい問いです。「今日は何をして過ごされましたか」の方が答えやすく、そこから本当の楽しみが見えてきます。

語りたがらないことを、無理に聞かない

戦争のこと、離別のこと、事業の失敗、家族との不和。話したくない過去を持っている方がおられます。

聞き出そうとしないでください。話が逸れたら、そのまま逸らせておきます。そして、逸らされたという事実だけを記録に残します。「家族の話になると話題を変えられる」。この一行が、次に担当する人を助けます。

書いてよいのは、ご本人が語ったことと、こちらが見て分かったことです。推測は書きません。書くなら「〜と思われる」ではなく「〜と話された」の形にしてください。

ご家族から聞くとき

ご本人が認知症などで語れないときは、ご家族から聞きます。このとき、ご家族の見方が入ることに気をつけてください。

「昔から頑固で」「わがままな人でした」。ご家族の言葉には、長い関係の感情が乗っています。そのまま書くと、その方を知らない職員が偏った見方で接することになります。

事実と、ご家族の見方を分けて書きます。「三十年間、自営で理髪店を営んでいた(長女の話)」「『昔から人に指図されるのが嫌いだった』と長女は話される」。後者は、ご家族の言葉として書きます。

書いたものを、どう使うか

アセスメントシートの引き出しにしまってしまうと、書いた意味がありません。

使い方は三つあります。一つ目は、担当者会議で共有すること。サービス事業所の職員が、その方をどう理解すればよいかを知る材料になります。

二つ目は、新しい職員が入ったときに読ませること。何度も同じ質問をして、ご本人を疲れさせずに済みます。

三つ目は、行き詰まったときに戻ること。支援がうまくいかなくなったとき、生活歴を読み直すと理由が見つかることがあります。

認知症の方の生活歴は、とくに効きます

記憶が新しいものから失われていくため、昔のことほど残っています。生活歴に書かれたことが、そのまま会話の材料になります。

米作りをしてこられた方に、稲の話をする。理髪店をされていた方に、はさみの話をする。それだけで、表情が変わることがあります。

そして、行動の理由が分かることがあります。夕方になると出て行こうとされる方が、実は毎日その時刻に子どもを迎えに行っていた。生活歴を知らなければ、ただの徘徊に見えます。

認知機能の評価と合わせて見ると、さらに手がかりが増えます。長谷川式の採点では、どの項目が落ちているかまで残せます。合計点ではなく、項目ごとに見てください。

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朝比奈幸太郎
朝比奈幸太郎

芸術家、空音開発創業者。二十代の終わりから三十代にかけて、要介護 5 の祖母と要介護 2 の祖父を一人で在宅介護しました。公開されている測位の基準局を毎日測り、記録を番号付きで公開しています。介護事業所のホームページ制作と、送迎の到着予告「かぞくのまど」を運営しています。運営者情報