難読漢字は、読めた人が主役になれる数少ない場面です。若い職員が読めない字を、利用者の方が読む。日常では教わる側、してもらう側にいることの多い方にとって、これは大きな意味を持ちます。
六つの分野に分けています
| 分野 | 字数 | 特徴 |
|---|---|---|
| 野菜と果物 | 40 | いちばん答えやすく、話も広がります。ここから始めます |
| 鳥 | 24 | 鳴き声や、田畑で見た記憶につながります |
| 花と木 | 24 | 季節の話になります。庭の手入れをされていた方に |
| 体の部位 | 20 | 読めると同時に、そこを触っていただけます |
| 国と都市 | 26 | 米国の米、英国の英。一字の由来が分かります |
| 動物と虫 | 24 | 子どものころの遊びの話になります |
一度の時間に一つの分野だけを使ってください。混ぜると、頭の切り替えが要って疲れます。
どの分野から始めるか
野菜と果物から始めてください。毎日目にしてきたもので、答えやすく、そして話が広がります。
南瓜、西瓜、胡瓜。この三つは瓜の字が入っているので、意味から手がかりが取れます。牛蒡、蓮根、慈姑。台所に立っていた方なら、ほとんど読まれます。
次に進むなら、体の部位が意外に効きます。読めた字の場所を、実際に触っていただけるからです。踵、脛、腓。ふくらはぎは第二の心臓と呼ばれます、と添えれば、体操につながります。
国の漢字は、一字の由来が分かります
米国の米、英国の英、仏国の仏、独国の独、露国の露。どれも当て字の一字目です。
| 当て字 | 読み | 一字で |
|---|---|---|
| 亜米利加 | アメリカ | 米 |
| 英吉利 | イギリス | 英 |
| 仏蘭西 | フランス | 仏 |
| 独逸 | ドイツ | 独 |
| 露西亜 | ロシア | 露 |
| 和蘭 | オランダ | 蘭 |
新聞を読んでこられた方には、この一字がなじみ深いはずです。「日米」「日露」という言葉から入ると、答えが出やすくなります。
四つの形で使えます
| 形 | 何に使うか |
|---|---|
| 一覧 | 読み方と一言つき。職員が手元に持って、読み上げる |
| カード | 切って使います。厚紙に印刷して、一枚ずつ見せる |
| 台紙 | 読み方が書いてある枠。そこにカードを置いていただく |
| 書き取り | 漢字を見て、読み方を書く。お一人ずつ |
カードは印刷すると一字が四十ミリほどになります。二メートル離れた席から読める大きさです。ラミネートすれば何年でも使えます。
読めたあとが本番です
正解を確かめて次へ進む、では十分もちません。読めたあとに一言足してください。
牛蒡が読めたら「きんぴらはよく作られましたか」。蒲公英が読めたら「綿毛を吹いたでしょう」。蜻蛉が読めたら「どこで捕りましたか」。
一覧に添えてある一言が、その入口になります。職員が知らない話が、必ず出てきます。
読めない字が出たときは
答えを先に言わないでください。まずヒントを出します。それでも出ないときは、選択肢を三つ出します。「かぼちゃ、すいか、きゅうり。どれでしょうか」。選ぶ形なら答えられます。
最後まで出なくても構いません。そのときは答えを言って、すぐにその話へ移ります。読めなかったことで終わらせないことです。
認知機能との関係
使っているのは、長く保たれている言葉の記憶です。認知症が進んでも、若いころから見てきた字はよく残っています。
今日の日付が分からない方が、女郎花を読まれる。これは珍しいことではありません。できないことではなく、できることを使う。それがこのレクの考え方です。
記録として残したいときは、長谷川式の採点で項目ごとに残せます。合計点ではなく、どの項目が保たれているかを見てください。
ほかの漢字の頁
魚へんの漢字は四十八字。出世魚の呼び名や旬の話につながります。野菜と果物の漢字は、この頁の野菜の分野を、台所の話に広げる形でまとめています。
その日の様子を、残しておいてください
ご家族は、施設で何をしているのかを知りたいと思っておられます。写真を一枚と、一行の言葉。それがあるだけで伝わります。
私たちが作る事業所の頁では、写真を入れて一行書けば、その場で公開されます。介護の事業所だけのホームページ制作をご覧ください。



