送迎はデイサービスの業務の三割を占めると言われます。そこを機械に任せられるなら、効果は大きい。ただし製品によって、できることも、誰に何を知らせるかも、まるで違います。この記事では六つの製品を並べ、選ぶときに何を見ればよいかを整理します。数字は各社の公開情報と、比較記事の記載に基づいています。
送迎システムは、六つあります
| 製品 | 会社 | 月額 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| うぇるなび | トレック | 8,800 円〜 | 複数のルート案を出し、要望と費用の兼ね合いを見せる。GPS つきのタブレット |
| かぞくのまど | 空音開発 | 12,000 円 | 送迎の記録と、ご家族の窓。ホームページと一つになる |
| らくぴた送迎 | ダイハツ | 15,000 円〜 | 2018 年から。利用者本人へ「ひとつ前の地点」を自動で電話。共同送迎にも対応 |
| 運転手はキミだ!!クラウド | エスコム | 16,000 円〜 | 2003 年から。事業所ごとに作り替えられる |
| ぴっくあっぷプランナー | システムクリエイト | 18,000 円〜 | 細かい条件の設定。ワイズマン、ほのぼのと連携 |
| ドライブボス | パナソニック | 要問合せ | カーナビと一体。AI でルートを自動作成 |
価格の帯は、月 8,800 円から 18,000 円です。いちばん安いのはうぇるなびで、当社はその次になります。
ここから先は、値段ではなく中身の話です。同じ「送迎システム」でも、解こうとしている問題が違います。
選ぶときに見る、七つのこと
一、ルートを自動で作れるか
多くの製品が持っている機能です。住所を登録すると、回る順を計算します。らくぴた送迎、ドライブボス、うぇるなび、ぴっくあっぷプランナーのいずれも自動で作れます。
ただし、自動で出た順をそのまま使える事業所は多くありません。介助に時間のかかる方を最後に寄せる、二人介助の方を同じ便に集めない、添乗者の都合。こうした事情は機械が知りません。自動で作ったあと、手で直せるかどうかを確かめてください。
そして、一度組めば当分は変わりません。利用者が入れ替わるたびに組み直すだけです。ルートの自動作成は、導入の理由としては思われているほど大きくありません。
二、運転者が何回押すか
ここは安全に直結します。
運転者は運転をしています。端末を触る回数が多いほど、車を止める回数が増えるか、走りながら触ることになります。どちらも良くありません。
製品によっては、計画の変更や欠席の受付まで端末で行います。事務所でやるべきことを、運転席でやらせている形です。運転者が押すのは、乗せたときと降ろしたときの二回まで。それ以外は事務所か、自動であるべきだと考えます。
導入の前に、運転者に実際に触ってもらってください。説明を聞いた管理者が決めて、運転者が使えずに止まった例を知っています。
三、誰に、何を知らせるか
この項目で、製品の設計思想がいちばん分かれます。
| 製品 | 誰に | どうやって |
|---|---|---|
| らくぴた送迎 | 利用者ご本人 | 自動音声または電話で「ひとつ前の地点」を伝える |
| かぞくのまど | ご家族 | 画面で地図と「あと何分」を見る |
電話は、出られなければ届きません。認知症の進んだ方は、電話に出られないか、出ても内容を保てないことがあります。そして別居して働いているご家族には、まったく届きません。
朝、事業所に電話をかけてくるのは誰でしょうか。多くの場合、ご本人ではなくご家族です。同居のご家族は出勤前で、別居のご家族は前の晩から気にしています。
誰の困りごとを解こうとしているのか。ここを見てください。
四、記録が、減算の証明になるか
送迎を行わなかった片道につき、四十七単位が引かれます。往復なら九十四単位です。利用者三十人の事業所で月に片道二十回なら、年間で十一万円あまりが動きます。
そして運営指導では、送迎を実施したことの記録を求められます。手書きの記録しか無い事業所は、実施の証明ができません。
確かめるのは三つです。通過の時刻が自動で残るか。送迎しなかった日が自動で拾えるか。そしてそのまま印刷して提出できる形になるか。三つ目を持っていない製品があります。画面で見られても、紙にできなければ運営指導では使えません。
五、介護ソフトとつながるか
らくぴた送迎は二〇二一年八月からワイズマンシステムSP と連携し、利用者と通所予定のデータを取り込めます。ぴっくあっぷプランナーはワイズマンとほのぼのに対応しています。
連携があると、利用者の登録を二度しなくて済みます。すでにその介護ソフトをお使いなら、大きな利点です。
当社は介護ソフトとの連携を持っていません。利用者の登録はこちらで行っていただく必要があります。この点は、連携のある製品に劣ります。
六、端末は何が要るか
ほとんどの製品が、車にスマートフォンかタブレットを置く形です。事業所で用意するか、レンタルするかが分かれます。
確かめるのは、通信費が誰の負担か、専用の端末が必要か、そしてお手持ちの端末が使えるかです。すでに職員が持っている端末を使えるなら、初期の費用が下がります。
七、やめるときに、データが戻るか
いちばん聞きにくく、いちばん大事な項目です。
解約したとき、利用者の登録、送迎の記録、走行の実績。これらが読める形で戻ってくるかどうか。戻らない製品を選ぶと、乗り換えができなくなります。
契約の前に、必ず書面で確かめてください。

現場から出ている、三つの不満
介護の現場で働く方が書かれた記事に、送迎システムへの懸念が三つ挙がっていました。どれももっともな指摘です。当社がどう答えているかも、あわせて書きます。
スマートフォンを使ったことのない運転者が多い
送迎の運転者には、退職後の方が多くおられます。普通自動車の免許があれば務まる仕事なので、そういう方に来ていただけるのが良いところです。そしてその方々は、スマートフォンに慣れていないことがあります。
答えは、押す回数を減らすことしかありません。
当社の設計では、運転者が触るのは三か所だけです。朝に便を選んで「開始」を押す。お宅に着いたら「乗せた」を押す。施設に着いたら「終了」を押す。文字の入力はありません。画面には、次に押すボタンだけが大きく出ます。
欠席の受付も、順の組み直しも、事務所と自動に任せます。運転席でやることを増やさない。これが設計の原則です。
それでも不安が残る事業所には、押さなくても位置が記録される形もあります。ボタンは、運転者が自分で確かめるためのものと考えてください。
費用対効果を、経営に説明しにくい
これがいちばん深刻な指摘だと思います。「便利になりました」では稟議が通りません。
効果は、電話の本数で数えられます。
時給 1,500 円で計算すると、月に 22,500 円です。送迎システムの月額が 12,000 円なら、電話が半分に減っただけで元が取れます。
大事なのは、導入の前に実際に数えることです。一週間、朝の電話に正の字をつけてください。本数と時間が分かれば、稟議の紙が一枚で書けます。
そして導入の後にも数えてください。減った本数が、そのまま効果の証明になります。当社では、家族の窓が何回開かれたかを月ごとにお出ししています。電話の代わりに窓が開かれた回数です。
端末の充電管理と、エラーが出たときの対応
これは正直に申し上げます。当社も端末が要りますので、この問題から自由ではありません。
できることは二つです。一つは、車に充電器を据え付けて、乗せたら挿す形を決めてしまうこと。運転者の善意に頼らない仕組みにします。
もう一つは、電池の残量と通信の状態を、事務所の画面で見られるようにすることです。当社はこれを入れています。朝の出発前に、事務所で全車の状態が分かります。切れてから気づくのでは遅いからです。
エラーが出たときは、その日は紙に戻ってください。紙の送迎表を一枚、必ず車に置いておく。仕組みが止まっても送迎は止まりません。これはどの製品を選んでも同じです。
分野ごとに、勝つ製品が違います
当社の頁ですが、当社がすべてで一番だとは書きません。実際にそうではないからです。
| 求めるもの | 向いている製品 |
|---|---|
| いちばん安く始めたい | うぇるなび(月 8,800 円〜) |
| 施設の枠を超えた共同送迎をしたい | らくぴた送迎(ゴイッショを別に展開) |
| ワイズマンやほのぼのと必ずつなぎたい | らくぴた送迎、ぴっくあっぷプランナー |
| 事業所の事情に合わせて作り替えたい | 運転手はキミだ!!クラウド(2003 年からの実績) |
| カーナビと一体で使いたい | ドライブボス |
| ご家族に届く形にしたい | かぞくのまど |
| ホームページと一つにしたい | かぞくのまど |
共同送迎をお考えなら、ダイハツが先を行っています。安さで選ぶならうぇるなびです。長い実績で選ぶならエスコムです。当社が向いているのは、この二つを求める事業所だけです。
当社が向いていない事業所
先に書いておきます。次に当てはまる事業所には、ほかの製品をお勧めします。
- 介護ソフトとの連携が必須の事業所。当社は連携を持っていません
- 共同送迎を考えている事業所。当社には仕組みがありません
- 月額をいちばん安くしたい事業所。うぇるなびの方が安くなります
- 大手の看板で安心したい事業所。当社は個人の事業です
逆に向いているのは、ご家族への連絡で困っている事業所と、ホームページも一緒に整えたい事業所です。
ホームページと一つにすると、何が変わるか
送迎システムの会社は、送迎だけを作ります。ホームページの制作会社は、サイトだけを作ります。両方を別々に頼むと、こうなります。
契約が二本になり、窓口が二つになり、そして二つのシステムはつながりません。送迎の記録は送迎システムの中に残り、ホームページには出てきません。
一つにすると、これが変わります。送迎の記録が、そのまま外向きの面につながります。
今日の送迎が終わった時刻は、その日の記録になります。空き状況を押せば、ケアマネジャーが見る画面が変わります。行事の写真を一枚入れれば、ご家族が見る頁に出ます。内向きの操作が、外向きの情報になる。二度書かなくて済みます。

決める前に、確かめること
- 無料の期間に、運転者本人に触ってもらう。管理者だけで判断しない
- 朝の電話を一週間数える。導入後に比べる数字がないと、効果が言えません
- 解約のときにデータが戻るかを、書面で確かめる
- 通信費と端末が誰の負担かを確かめる
- 記録を印刷して提出できるかを確かめる
- 介護テクノロジーの補助金が使えるかを、都道府県に確かめる
最後の項目は、金額が大きく動きます。補助率は都道府県によりますが、三分の二から五分の四のところがあります。公募の時期は年度の前半に集中しますので、年明けには調べ始めてください。補助金についての記事もあわせてご覧ください。
導入で失敗する、三つの形
入れたのに使われなくなった、という話をいくつか聞いています。形は決まっています。
一、管理者だけで決めた。説明を聞いた管理者が良いと思って入れ、運転者が使えずに止まる。これがいちばん多い形です。無料の期間は、必ず運転者本人に触ってもらってください。使う人が決めるのが、いちばん確実です。
二、紙をすぐに捨てた。仕組みが動き始めた日に、紙の送迎表をやめてしまう。そして端末が動かない日が来て、その日の送迎が混乱します。最初の三か月は紙と併用してください。紙の方が不要になったと現場が言い出してから、やめればよいのです。
三、効果を測らなかった。導入の前に何も数えていないと、後から「入れて良かったのか」が分かりません。来年度の予算の話になったとき、続ける理由が言えなくなります。朝の電話の本数だけでも、一週間数えておいてください。
一便の組み方は、仕組みより先です
送迎システムを入れても、便の組み方が無理なままだと楽になりません。順番として、先に便を見直してください。
私たちが市街地で測ったところ、実際に走る道のりは、地図の直線距離の 1.5 倍から 1.9 倍でした。住宅街の平均の速さは時速 22 キロ、一軒あたりの乗り降りは 2 分(介助が要る方は 4 分)です。
この三つの数字で、一便の所要が計算できます。直線で 8 キロの経路なら実際は 12 キロ、走る時間が 33 分。六軒ぶんの乗り降り 12 分を足して 45 分です。
一便は六軒から七軒が上限だと考えます。八軒にすると 50 分を超え、最初に乗った方の車内時間が一時間近くになります。夏と冬は、ここが負担になります。
計算の仕方は送迎ルートの組み方に詳しく書きました。送迎表のひな形は無料でお使いいただけます。仕組みを入れる前に、まずこちらで整えてみてください。
私たちがこれを作った理由
作った人間が、二十代の終わりから三十代にかけて、要介護 5 の祖母と要介護 2 の祖父を一人で在宅介護していました。
訪問入浴が来る日、いつ来るか分からないまま待っていました。デイサービスの帰りの時刻が読めず、先に帰ることもできませんでした。事業所に電話をかけるのは、申し訳ないと思いながらでした。
だから、この仕組みは家族の側から作られています。利用者ご本人に電話をかける形ではなく、家族が自分の端末で見る形にしたのは、そのためです。
送迎システムとしては後発です。大手の看板もありません。ただ、待っている側の気持ちだけは、実際に知っています。
介護の事業所だけのホームページ制作と、送迎の到着予告についてはこちらをご覧ください。ご相談と見積もりは無料です。
ケアマネジャーとご家族と求職者に届く形で作ります。送迎の到着予告は、後から積めるオプションです。相談と見積もりは無料です。
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