送迎表は、毎朝いちばん最初に開く紙です。そして運営指導で必ず見られる紙でもあります。作りやすさと、残せることの両方が要ります。
送迎表に決まった様式はありません
国が定めた様式はありません。事業所ごとに作って構いません。ただし運営指導では、誰を、いつ、どこへ送迎したかが分かる記録の提出を求められます。逆に言えば、それが分かる形であれば何でもよいということです。
入れておくべきは次の五つです。日付、便、時刻、利用者の氏名、運転した人。ここに行き先と覚え書きの欄を足しておくと、当日の変更に対応しやすくなります。
回る順の決め方
順を決めるとき、地図の上の直線距離で考えないでください。実際に走る道は、直線距離の一・五倍から一・九倍になります。私たちが市街地で測った結果です。
一便に入れる軒数は、六軒から七軒が上限だと考えます。一軒あたりの乗り降りに二分、介助が要る方なら四分。時速二十二キロで走ると仮定すると、六軒でおよそ四十分になります。八軒にすると五十五分を超え、最初に乗った方が一時間近く車内にいることになります。
出発の時刻は、受け入れの開始から逆算します。
九時三十分に受け入れを始めるなら、最後の一便が九時二十五分に着く形です。一便四十分なら八時四十五分の出発。ここに十分の余裕を入れておかないと、雨の日と渋滞の日に必ず遅れます。
添乗者を付けるかどうか
判断の基準は、玄関から車までの介助が要る方が何人いるかです。二人介助が要る方が一人でもいれば、その便には添乗者が要ります。車椅子のリフトを運転者ひとりで操作すると、その間、車内の他の方から目が離れます。
添乗者を付けられないときは、二人介助の方を同じ便に集めず、便を分ける方法があります。送迎表には、どの便に添乗者を付けるかを曜日ごとに書いておいてください。
当日の変更を、どう記録するか
いちばん多い指摘が、ここです。前の日に印刷した予定表がそのまま綴じられていて、当日の欠席や順の入れ替えが反映されていない。運営指導では、予定表ではなく実際の記録を求められます。
やり方は簡単で、印刷した表に手で書き込むだけです。欠席には線を引いて理由を書き、順を変えたら矢印を引く。清書する必要はありません。むしろ、その場で書いた跡が残っている方が信頼されます。
上のひな形には「済」の欄を付けてあります。乗せた時点でチェックを入れると、誰を乗せ忘れたかがその場で分かります。
送迎をしなかった日の記録が、お金に関わります
送迎を行わなかった片道につき四十七単位が引かれます。往復なら九十四単位です。ご家族が自分で送って来られた日も対象になります。
利用者三十人の事業所で、月に片道二十回の送迎を行わなかったとすると、九百四十単位、およそ九千四百円が減ります。年にすると十一万円あまりです。
問題は、その日を記録していないと請求が正しくならないことです。そして記録が無ければ、運営指導で「本当に送迎したのか」を証明できません。返還を求められる場合があります。
紙で残すか、自動で残すか
曜日ごとに顔ぶれが決まっている事業所なら、曜日ごとに一枚作って印刷しておく形で足ります。変更があった日だけ手で直す。これがいちばん軽い方法です。
一方で、送迎の記録そのものを自動で残す方法もあります。車に置いた端末が、誰をいつ乗せて、いつ降ろしたかを記録します。運転者が押すのは、乗せたときと降ろしたときの一回ずつだけです。
この記録があると、月末に送迎の実績表が自動で出ます。減算の対象になった日も自動で拾えます。そして同じ仕組みから、ご家族の画面に「あと何分で着きます」を出せます。
安全のために、表に書いておくこと
送迎中に起きた事故は、そのほとんどが乗り降りの場面で起きています。走行中ではありません。玄関から車まで、車から玄関まで。この数メートルです。
だから送迎表の覚え書きの欄には、その方の乗り降りのことを書いてください。杖を使う、手すりが要る、段差が二段ある、犬がいる、道が細くて車を停める場所が離れている。運転者が代わっても同じ介助ができるように書きます。
もう一つ、その日だけの申し送りも書きます。昨日から足が痛いと言っている、風邪気味である、ご家族が不在で鍵を預かっている。前日の連絡帳から送迎表に写す習慣をつけると、伝え漏れが減ります。
二人介助と車椅子の方をどう配るか
同じ便に集めないでください。二人介助が要る方が二人同じ便にいると、添乗者がいても手が足りません。曜日ごとの顔ぶれを見て、便に散らすように組みます。
車椅子の方は、リフトの操作に時間がかかります。一便に二人までを目安にしてください。三人入れると、その便だけ二十分ほど長くなります。最初に乗った方の車内時間が延びますので、車椅子の方は最後の方に乗せるという組み方もあります。
ただし帰りは逆になります。最後に乗った方が最初に降りることになりますので、往路と復路で順が変わります。ここを揃えようとすると必ず無理が出ますから、往路と復路は別の表として組んでください。上のひな形で「迎え」と「送り」を分けているのは、そのためです。
送迎の時間は、いちばん人手が要る時間です
朝の一時間半と、夕方の一時間半。ここに人手が集中します。運転する人、添乗する人、施設で受け入れる人。この時間だけ職員が足りないという事業所は多くあります。
だから送迎表は、送迎だけの表ではありません。誰がどの便に出て、誰が施設に残るのか。その配置まで書いておくと、朝の混乱が減ります。上のひな形の下に運転者と添乗者の欄を置いているのは、そのためです。
もう一つ、送迎の時間は電話がいちばん鳴る時間でもあります。今日休みます、という連絡が朝八時に集中します。すでに車が出た後で欠席の連絡が入ると、順が崩れます。
欠席の連絡を、電話ではない形で受けられるようにしておくと、ここが楽になります。前の晩のうちに画面から知らせていただければ、朝の順を組み直してから出発できます。電話を待つのではなく、先に分かる形にすることです。
ご家族からの電話が減ります
送迎の時刻が近づくと、事業所に電話がかかってきます。まだですか、今どのあたりですか。一本二分として、一日に十本あれば二十分。月に二十日で四百分、およそ七時間が電話で消えます。
ご家族の側にも理由があります。玄関で待たせるわけにいかない、目を離せない、支度をいつ始めればいいか分からない。時刻が見えないから電話をかけるのであって、迷惑をかけたくて電話しているわけではありません。
あと何分かが画面で見えるようになると、この電話が消えます。私たちが送迎の記録と到着予告を同じ仕組みにしている理由が、ここにあります。
