人員基準は、サービスごとに「どの職種を、何人、どういう形で置くか」を決めたものです。欠けると減算がかかります。しかも解消するまで続きます。
人員基準は、最低限の線です
指定を受けるときに満たしていればよい、というものではありません。指定を受けている間ずっと満たし続ける必要があります。職員が一人辞めた翌月から基準を割っていた、ということが実際に起きます。
基準は職種ごとに書かれ方が違います。常勤換算で何人以上と決まっているもの、提供時間帯を通じて置くと決まっているもの、一人以上とだけ決まっているもの。読み方を間違えると、足りているつもりで足りていません。
通所介護の介護職員は、利用者数で必要な数が動きます
利用者 15 人まで = 1 人以上
15 人を超えるとき = 1 +(利用者数 − 15)÷ 5 人以上
利用者が二十五人なら、1 +(25 − 15)÷ 5 で 3.0 人以上です。三十五人なら 5.0 人以上になります。定員ではなく、実際の利用者数で計算します。
利用者数は日によって変わりますから、多い日に合わせて組んでおく必要があります。定員いっぱいの日に足りていなければ、その日は基準を欠いたことになります。
生活相談員は、時間で見ます
「一人以上」と書かれていますが、これは常時一人が張り付くという意味ではありません。勤務延時間数を提供時間数で割った数が一以上であればよい、という決まりです。
七時間のサービスを一日一単位で行っている事業所なら、生活相談員の勤務が合計で七時間あれば足ります。午前に三時間、午後に四時間を別の人が入る形でも構いません。
訪問系は、常勤換算 2.5 が基本です
訪問介護の訪問介護員等も、訪問看護ステーションの看護職員も、常勤換算で 2.5 人以上です。訪問看護にはもう一つ条件があり、そのうち一人は常勤でなければなりません。
非常勤ばかりを集めて 2.5 を超えていても、常勤が一人もいなければ基準を満たしません。数字だけを見ていると見落とします。
訪問介護にはサービス提供責任者の基準もあります。利用者四十人ごとに一人以上で、原則として常勤です。利用者が四十一人になった時点で、二人目が必要になります。
人員基準を欠いたときの減算は、重いです
通所介護で人員基準欠如減算がかかると、所定単位数の七十パーセントしか算定できません。三割が消えます。しかも、欠如が判明した月の翌月から、解消された月まで続きます。
看護職員や介護職員の欠如は、その翌月から。生活相談員や機能訓練指導員の欠如も同じ扱いです。一か月分だけで済む話ではありません。
ぎりぎりで組まないでください。
常勤換算 2.50 ちょうどで組んだ事業所は、誰かが半日休んだだけで下回ります。運営指導では月ごとに見られます。少し余裕のある形にしておくことが、結局いちばん安く済みます。
兼務が認められるところ、認められないところ
管理者は、支障がなければ他の職務と兼ねられます。同じ敷地内の他の事業所の職務を兼ねることも認められています。機能訓練指導員も、看護職員などとの兼務が一般的です。
一方で、専従と書かれている職種は、その時間帯に他の職務に就けません。通所介護の看護職員は単位ごとに専従で一人以上とされています。兼務の届け出の内容と実際が食い違っていると、運営指導で指摘されます。
兼務している職員の時間は、職務ごとに分けて数えます。同じ時間を二つの職務に重ねることはできません。勤務表に、どの時間がどの職務なのかを書き分けておいてください。
サービスごとの必要な数の一覧
| サービス | 職種 | 必要な数 |
|---|---|---|
| 通所介護 | 生活相談員 | 提供時間数と同じ時間以上 |
| 看護職員 | 単位ごとに専従で 1 人以上 | |
| 介護職員 | 利用者 15 人まで 1 人、以降 5 人ごとに 1 人 | |
| 訪問介護 | 訪問介護員等 | 常勤換算 2.5 人以上 |
| サービス提供責任者 | 利用者 40 人ごとに 1 人以上 | |
| 訪問看護 | 看護職員 | 常勤換算 2.5 人以上(うち 1 人は常勤) |
| 訪問入浴介護 | 看護職員 | 1 人以上 |
| 介護職員 | 2 人以上 |
訪問入浴介護だけは、常勤換算ではなく実際の配置で決まります。一回の提供につき看護職員一人と介護職員二人、合わせて三人が現場に出ます。人手のいるサービスであるにもかかわらず、事業所の数が少ないのはこのためです。
人が足りないときに、まずできること
常勤換算が足りないと分かったとき、いきなり採用に走る前に、三つ試してください。
一つ目は、数え方の確認です。休憩を引き忘れて実際より少なく出ていることがあります。逆に、兼務の時間を重ねて数えて多く出ていることもあります。まず勤務表を疑ってください。
二つ目は、今いる職員の時間を増やすことです。週二十時間の方を週二十四時間にするだけで、常勤換算では 0.1 増えます。新しく一人採るより、はるかに早く、確実です。ご本人の事情もありますから、全員に一度声をかけてみてください。
三つ目は、兼務の見直しです。管理者が管理の仕事に使っている時間を減らし、現場に入る時間を増やせないか。事務作業を仕組みで減らせれば、その分が現場の時間になります。
それでも足りないときに、採用です。介護の求人は、求人サイトを見た人が事業所の名前で検索してから応募します。自分の事業所の頁で、仕事の内容と勤務の形と一日の流れが分かるようにしておくと、応募が来る確率が変わります。人員基準の話は、採用の話と地続きです。
届け出た内容と、実際が合っているか
人員基準の指摘でいちばん多いのは、数が足りないことではありません。届け出た内容と実際が食い違っていることです。
管理者が変わったのに変更届を出していない。生活相談員の資格要件を満たさない人が担当している。兼務の内容が届け出と違う。加算の要件で置いた職員が辞めていた。どれも、その気になれば防げるものばかりです。
職員の入退職があった月に、次の四つを確かめる習慣をつけてください。
- 変更届が要る内容かどうか。管理者、生活相談員、サービス提供責任者は要ります
- 常勤換算数が基準を下回っていないか
- 取っている加算の要件が、まだ満たせているか
- 資格証の写しが、新しい職員の分もそろっているか
この四つを、退職の申し出があった日に確かめます。辞めた後ではなく、辞めると分かった時点です。一か月あれば手が打てますが、辞めた後では減算が始まっています。
運営指導の前に確かめること
- 直近三か月の勤務表で、常勤換算数を実際に計算してみる
- 休憩の時間が勤務延時間数から除かれているか
- 兼務している職員の時間が、職務ごとに分かれて書かれているか
- 就業規則に定めた常勤の勤務すべき時間と、計算に使った時間が合っているか
- 資格の証明の写しが、全員分そろっているか
いちばん多い指摘は、勤務表と実際の勤務が合っていないことです。予定表をそのまま提出してしまい、当日の変更が反映されていない。ここを直すだけで、指摘の多くは消えます。
