管理栄養士がいる施設なら、専用の仕組みがあります。問題は、いない事業所です。通所介護の多くは、給食を外から取るか、その日の職員が作るかのどちらかで、栄養価を確かめる手立てを持っていません。ここでは、その手立てを作る方法を書きます。
全部の献立を計算する必要はありません
毎日の献立を全部計算しようとすると、続きません。次の三つだけで、ずいぶん見えるようになります。
- 一、ふだんの一日の献立を、一度だけ計算してみる。基準に対してどこが足りないかが分かります
- 二、足りない栄養素を一つ決め、それを補う食品を一つ決める。毎日それを足す
- 三、三か月後に体重を見る
一度計算すると、自分の施設の献立の癖が分かります。癖は毎日同じですから、一度分かれば以後は同じ手当てで足ります。
いちばん多い形
私たちが見てきたかぎり、いちばん多いのはたんぱく質と食物繊維が足りず、食塩が多い形です。
汁物が二品ある、漬物が付く、煮物の味付けが濃い。これで食塩が上がります。一方、主菜が小さく、野菜が煮物に偏っていると、たんぱく質と食物繊維が足りません。
そのときは、汁を一つ減らして、牛乳か卵を一つ足す。それだけで両方が同時に良くなります。手当ては一つで足りることが多いのです。
計算に使う数値は、八訂のものです
食品成分表は、七訂から八訂で大きく変わりました。二つ覚えておいてください。
一つ目は、エネルギーの計算方法です。それまでは食品ごとの換算係数を使っていましたが、八訂では組成に基づく方法に変わりました。その結果、ごはんは百グラムあたり百六十八キロカロリーから百五十六キロカロリーになりました。全体としてエネルギーは低めに出ます。
二つ目は、食物繊維の測り方です。じゃがいもは 1.3 グラムから 8.9 グラムになりました。七倍近い違いです。古い資料の数字と並べて比べないでください。
手元の古い資料を使わないでください。
厨房に置いてある成分表が七訂のものだと、計算した数字が今の基準と合いません。とくに食物繊維は、比べようがないほど違います。
その場で計算できる道具
食品成分表の 2,538 品目を載せた道具を用意しました。栄養の計算の「献立の計算」です。
使い方は簡単です。対象の方の年齢と体重を入れ、食品を名前で探して量を入れる。よく使う食品はボタン一つで足せます。合計が出て、その方の一日の必要量に対する充足率が栄養素ごとに帯で出ます。
出るのは、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、食物繊維、食塩相当量、カリウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ビタミン A・D・B1・B2・B12・C、葉酸。食塩だけは、百パーセントを超えないよう色が変わります。
印刷と CSV への書き出しもできます。登録は要りません。入れた内容はお使いの端末の中だけで扱い、送信も保存もしていません。
成分表の名前で探すときのこつ
成分表の食品名は、独特の書き方をしています。慣れるまでは見つけにくいかもしれません。
| 探すもの | 成分表での名前 |
|---|---|
| ごはん | こめ [水稲めし] 精白米 うるち米 |
| じゃがいも | <いも類> じゃがいも 塊茎 皮なし 生 |
| あじ | <魚類> (あじ類) まあじ 皮つき 生 |
| 豚もも肉 | <畜肉類> ぶた [大型種肉] もも 脂身つき 生 |
| 牛乳 | <牛乳及び乳製品> (液状乳類) 普通牛乳 |
魚と野菜は、ひらがなで書かれていることが多くあります。「さば」「ほうれんそう」「にんじん」。漢字で探して見つからないときは、ひらがなでお試しください。
そして、生か、ゆでか、焼きかで数値が変わります。ゆでると水分が入って重さあたりの栄養が薄まり、焼くと水分が飛んで濃くなります。実際に出す形に近いものを選んでください。
一食ぶんを入れたときの見方
道具に出る充足率は、一日ぶんの目標に対する割合です。一食ぶんだけを入れたときは、三分の一を目安にしてください。
昼食だけを出している通所介護なら、三十三パーセント前後になっていれば妥当です。たんぱく質だけは、朝と夕に入りにくいことを考えて、少し多めを狙う方がよいと考えます。
委託している場合も、確かめられます
給食を委託していると、栄養価は委託先が管理しています。ただし、実際に出されたものと、献立表に書かれたものが同じとは限りません。
三か月に一度でよいので、実際に出た一日ぶんを自分で計算してみてください。委託先の栄養価の表と照らして、大きく違わないかを確かめます。違っていたら、量なのか、内容なのかを聞きます。
これは委託先を疑うということではありません。数字を持って話せるようになると、要望が通りやすくなります。「もう少したんぱく質を」ではなく「主菜を十グラム増やせませんか」と言えます。
記録として残す意味
栄養ケア・マネジメントに関わる加算を取っている事業所では、記録が要件になります。取っていない事業所でも、記録があると運営指導で説明ができます。
そして何より、体重が落ちた方が出たときに、原因を探せます。献立の栄養価が分かっていれば、出している量が足りないのか、その方が食べていないのかを切り分けられます。
低栄養のサインと、体重が測れないときの見方もあわせてご覧ください。計算と記録は、対になって初めて役に立ちます。
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