クックチルは、加熱した料理を急速に冷やして保存し、提供の直前に再加熱する方式です。病院と介護施設で広く使われています。ここでは、仕組みと、介護施設で採るときに何を見るかを書きます。
三つの方式の違い
| 方式 | 流れ | 特徴 |
|---|---|---|
| クックサーブ | 作って、そのまま出す | いちばん一般的。作る時間と出す時間が縛られる |
| クックチル | 作って、急速に冷やして保存し、盛り付けてから再加熱して出す | 作る日と出す日を分けられる |
| ニュークックチル | 冷えた状態で盛り付け、専用の機器で盛り付け後に再加熱する | 盛り付けの人手が朝に集中しない |
クックフリーズという、冷やすのではなく凍らせる方式もあります。保存できる期間は長くなりますが、解凍のときに食感が変わりやすくなります。
要点は、急速に冷やすことです
加熱したあと、決められた時間内に中心の温度を下げます。細菌が増えやすい温度帯を速く通過させることが目的です。この工程のために、ブラストチラーという専用の機器が要ります。
冷蔵で保存し、提供の直前に中心まで再加熱します。この温度と時間の記録を残すことが、衛生管理の要です。大量調理施設衛生管理マニュアルに沿った運用が求められます。
つまり、冷蔵庫に入れておくだけの話ではありません。専用の設備と、記録の仕組みが要ります。
介護施設で採る利点
一、人の配置が楽になります。作る日と出す日を分けられるため、朝の厨房に人を集中させずに済みます。日曜や祝日に調理の人を置かなくてよくなる施設もあります。
二、味が安定します。同じ日にまとめて作るため、作る人による差が小さくなります。
三、急な食数の変更に対応しやすくなります。保存してあるものから出せるため、当日の増減に応じやすくなります。
四、非常時に強くなります。数日分の保存があるため、厨房が使えない日があっても提供を続けられます。業務継続計画のうえでも意味があります。
気をつけること
一、設備の費用がかかります。ブラストチラー、専用の冷蔵庫、再加熱の機器。導入のときにまとまった費用が要ります。
二、記録の手間が増えます。加熱、冷却、保存、再加熱。それぞれの温度と時刻を記録します。この手間を誰が担うかを決めておかないと続きません。
三、向かない料理があります。揚げ物の衣、和え物、生野菜。再加熱で食感が変わるものは、別に作ることになります。
四、保存の期間に決まりがあります。調理した日を含めて何日以内、という決まりを守る必要があります。在庫の管理が甘いと、期限を超えたものが出ます。
再加熱の温度と時間が、いちばん重要です。
中心まで規定の温度に達していないと、衛生上の危険があります。機器任せにせず、中心温度を測って記録する運用にしてください。ここを省くと、方式そのものが成り立ちません。
食形態への対応
介護施設では、刻み、ミキサー、ソフト食への対応が要ります。クックチルとの相性は、形態によって違います。
煮物や汁物は、再加熱しても質が落ちにくく、相性がよい料理です。ミキサー食も、もとの料理を保存しておいてから当日にミキサーにかける形なら問題ありません。
逆に、ソフト食のように形を作って固めたものは、再加熱で崩れることがあります。導入の前に、実際に自分の施設で出している形態のものを試作してもらってください。
委託する場合の確かめ方
給食を委託していて、委託先がクックチルを採っている場合は、次を確かめてください。
- どこで作って、どう運んでくるか。運搬中の温度管理はどうしているか
- 再加熱はどこで行うか。施設の厨房か、運んでくる時点で温かいのか
- 中心温度の記録を、施設が見られるか
- 食形態ごとに、どの工程で分けているか
- 当日の変更に、何時まで応じられるか
三番目が大事です。記録が委託先の中だけで完結していると、何かあったときに施設が説明できません。施設側でも控えを持てる形にしてください。
導入を検討するときの順番
- 一、今の困りごとを書き出す。人が足りないのか、味が安定しないのか、非常時が不安なのか
- 二、その困りごとが、クックチルで解決するかを確かめる。人の問題なら効きますが、味の好みの問題なら別の話です
- 三、設備の費用と、置く場所を確かめる。厨房の広さが足りないことがあります
- 四、記録を誰が担うかを決める
- 五、自分の施設の食形態で試作してもらう
- 六、すでに使っている施設に話を聞く
一番目を飛ばして、方式から入らないでください。方式は手段であって、目的ではありません。
食事は、選ばれる理由になります
ご家族が見学に来られたとき、最も見るのが食事です。そして、ケアマネジャーが飲み込みの弱い方を紹介するときも、食形態への対応を確かめます。
どういう方式で、どこまでの形態に対応できるのか。それを事業所の頁に書いておいてください。写真があれば、なおよく伝わります。委託給食会社の選び方もあわせてご覧ください。
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