研修記録シートの振り返り欄は、書きにくい欄です。「勉強になりました」で終わってしまう。ここでは、何を書けばよいのか、どう考えれば書けるのかを整理します。事業所として研修記録を残す側の話も併せて書きます。
振り返りは、感想ではありません
「大変勉強になりました」「今後の業務に活かしたいと思います」。この二行で終わっている記録をよく見ます。書いた人を責めるつもりはありません。何を書けばよいか教わっていないからです。
振り返りに書くのは、自分の仕事が、この研修の前と後でどう変わるかです。感想ではなく、変化の予告です。
三つの問いに答える形にします
一、何を知ったか。研修で聞いたことのうち、自分が知らなかったこと。一つでよい。
二、自分の仕事のどこに当てはまるか。具体の場面を一つ挙げる。
三、次に何を変えるか。いつから、何を。
この三つに答えれば、振り返りになります。長さは五行から十行で十分です。長く書くことが目的ではありません。
記入の例
薄い書き方
「認知症のケアについて学びました。とても勉強になったので、今後の業務に活かしたいと思います」
三つの問いに答えた書き方
「否定せずに受け止めることの大切さは知っていたが、そのあとで話題を変えるまでの間の取り方までは意識していなかった。担当の A さんは、夕方に『家に帰る』と言われることが多い。これまでは『もう少ししたら』と伝えていたが、間を置かずに返していたと思う。次の訪問から、一度うなずいて数秒置いてから話すようにする。二週間続けて、様子が変わるかを見る」
後者には、固有名詞と、具体の動作と、期間が入っています。読んだ上司が、二週間後に「どうでしたか」と聞けます。振り返りが次の会話につながる形です。
書けないときの手がかり
研修の中身が自分の仕事とつながらないとき、振り返りが書けません。そのときは、次のどれかで探してください。
- 意外だったこと。「そうだったのか」と思った瞬間があったはずです
- 自分と違うやり方。講師や他の参加者が話した方法で、自分がやっていないもの
- 思い浮かんだ利用者の顔。研修中に誰かの顔が浮かんだなら、その方の話です
- やっていないと気づいたこと。「これはうちではできていない」と思った点
- 疑問。納得できなかったこと。それも振り返りです。「〜については、うちの現場では難しいと感じた。理由は〜」
最後の一つは、書いてよいのかと迷われるかもしれませんが、書いてください。納得できないことを正直に書ける記録の方が、次につながります。
事業所として残す研修記録
個人の振り返りとは別に、事業所として研修を行った記録が要ります。加算の要件にも、運営基準にも出てきます。
| 項目 | 書くこと |
|---|---|
| 日時 | 年月日と、始まりと終わりの時刻 |
| 場所 | 事業所内か、外部か |
| テーマ | 何についての研修か |
| 講師 | 内部の職員か、外部の講師か。名前と所属 |
| 参加者 | 全員の名前。欠席者と、その方への伝達方法も |
| 内容 | 使った資料、進め方 |
| 参加者の振り返り | 個人のシートを綴じる |
いちばん抜けるのが参加者の名前です。開催したことは分かっても、誰が受けたのかが分からない記録では、要件を満たした証明になりません。
そして欠席者への伝達です。全員が参加できる日は、まずありません。欠席した人にどう伝えたか、いつ伝えたかまで残してください。
加算の要件との関係
研修の記録は、いくつかの加算の要件に関わります。訪問介護の特定事業所加算では、計画的な研修の実施が要件になっています。処遇改善加算でも、資質の向上のための計画と研修の機会の確保が求められます。
どちらも、計画があることと実施の記録があることの両方が要ります。年度の初めに年間の研修計画を作り、実施のたびに記録を残す。この二つが揃っていないと、実施していても要件を満たしません。
年間計画は難しく考えなくて構いません。月ごとにテーマを並べた一枚で足ります。感染症、虐待防止、身体拘束、事故防止、認知症、接遇、記録の書き方。義務になっているものから並べていけば、自然に埋まります。
書式は、事業所で作って構いません
国が定めた様式はありません。上の項目が入っていれば、どんな形でも構いません。
一枚に、研修の記録と参加者の振り返りを両方入れる形が使いやすいと思います。上半分が研修の記録、下半分が振り返りの三つの問い。参加者が下半分だけを書いて提出し、事業所が綴じる。
紙で作るか、画面で作るかも自由です。画面で作れると、年度末に一年分をまとめるのが速くなります。運営指導のたびに紙束を探す、ということがなくなります。
研修をしていることは、外にも伝えてください
毎月研修を続けている事業所と、年に一度だけの事業所では、仕事の質が違います。ところが、その違いは外からは見えません。
事業所の頁に「毎月、全職員で研修を行っています。今年のテーマは〜」と書いておくと、ケアマネジャーにも、応募を考えている方にも伝わります。加算の名前を書くより、こちらの方が届きます。
求職者は、事業所の名前で検索してから応募します。研修を続けているかどうかは、応募する側がいちばん気にすることの一つです。介護の事業所だけのホームページ制作では、こうした書き方から一緒に整えます。
ケアマネジャーとご家族と求職者に届く形で作ります。送迎の到着予告は、後から積めるオプションです。相談と見積もりは無料です。
制作の内容と料金を見る


